第14話

 

「な、なんだよ」

「な、なによ」

「貴方達のような小者に私のこの美貌を汚される覚えはないですわ」

「こ、小者ぉ・・・」

「なに言ってんのよ。バッカじゃない」

「ふんっ、小者は騒ぐのがお好きですわね。大声を出して誤魔化しているのですわ」

「な、な・・・」

「こ、この女・・・」

「まあ、お2人ならちょうど良いのかもしれませんけど」

「フィリシアっ、言って良いことと悪いことが・・・」

「セナさん」

「(ビクッ)」

「よくそのような格好でご自分を美人だとか綺麗だとか言えますわね」

「そーね、あたしもそう思うわ」

「それに魔族さん」

「(ビクッ)」

「いくら若いとは言っても、人間と魔族とでは寿命が違いますわ。貴方一体いくつなのでしょうかね」

「そうだぜ、5000歳くらいじゃねーのか」

「まったく質の低い戦いに私を巻き込まないで欲しいですわ」

「!!」

「!!」

「さ、アレフレッド様。こんな方々は放っておいて先を急ぎましょう」

「ふぃ、フィリシア・・・」

アレフは憶えながらもフィリシアの後を指差した。

そこには物凄い形相で睨んでいる2人がいた。

(こ、こえー)

タータも2、3歩後ず去った。

(触らぬ神にたたりなしってね)

クロッサルはいつのまにか姿を消してしまっている。

「アレフ・・・」

「は、はいっ」

「フィリシアとあたしはどっちが美人だ」

「え・・・・・・(汗)」

「そうですわ、はっきりおっしゃってください。アレフレッド様」

「ちょっと待ちなさい。あたしも含めてよ」

「え・・・え・・・!?」

女3人に囲まれてアレフは怯えている。

(うわー・・・怖いようー・・・)

周りを見てもクロッサルはいないし、タータは後のほうに行ってしまった。

「どこ見てんだよ、さあ、はやくっ」

「さあ、おっしゃってください。きっぱりと」

「はやく言いなさいよ」

「え、えーーーーと・・・み、みんな綺麗だなぁーーーー・・・・」

ブチッブチッブチッ

どこかでなにかの切れる音がした。

「アーレーフーーーー」

「そんな答えが許されると思っているんですのー」

「このガキャーー」

「そ、そんなこと言ったってぇー」

ドカッボカッボキィ

ベキッガキッグシャッ

アレフは3人にぼこぼこにされてくたばってしまった。

「きゅう・・・」

「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10!!」

タータがアレフの傍に来て地面を叩いた。

「アレフレッド選手の負けぇー」

「タータビネーニョさぁん・・・酷いですよぉー・・・」

「ははは、はやく逃げなかったお前が悪い」

タータはアレフを助け起こした。

「ほら、しっかりしろ」

「す、すいません・・・」

「まあ、その落ち込むなや。女の戦いに男が勝てるわけねーんだよ。どんな強い奴でもな」

その女の戦いはアレフに怒りをぶつけたことで一時休戦していた。

「ふう、あんた魔族のくせになかなかやんじゃねえか」

「そうですわね、見直しましたわ」

「あんたたちこそやるじゃない」

「あたしはセナだ」

「私はフィリシア・ディアスと申します」

「あたしはシュブレナリーオ・ヴァンゼンよ。セナって言ったかしら」

「ああ」

「あんたの名字は?」

「・・・・・・忘れた」

「セナさん、私達にも教えてくださらないんです」

「ふーん」

「名字がないからって死ぬわけじゃあるめえし」

「そうですわね、ほほほほ」

「そりゃそーだわ、はははは」

「はははは・・・はってなに和気藹々してんだよっ」

「はっ、そういえば」

「そうだったわっ」

「この街をこんなにしやがって許せねえっ」

「覚悟しなさいっ」

後でアレフとタータがずっこけた。

「な・・・こ、このノリにはついていけない・・・」

「す、すげえ・・・」

「アレフっ、タータビネーニョっ、なにやってんだ、早く来いっ」

セナが怒鳴った。

「わ、わかった」

「よっしゃ」

いつのまにはシュブレナリーオはまたさっきの屋根の上に上っていた。

「この街に入ったのが運の尽きだったわね。いくわよっ」

「おおっ、きやがれっ」

何故かクロッサルが戻ってきている。

「ど、どこにいたんだ?」

「今はそんなこと言ってる場合かよ、来るぜっ」

「エクスプロージョンッ」

「んなっ、あれは幻のっ」

タータが叫んだ。

「アレフレッド様っ、バリアーーーーッ!!」

フィリシアはアレフの前に立ち、バリアの呪文を唱えた。

しかし、その呪文の威力はバリアだけでは防ぎきれなかった。

「きゃああっ」

「うわあっ」

アレフとフィリシアはその呪文をまともにくらい、吹っ飛ばされた。

「アレフっ、フィリシアっ」

セナが叫んだが、すぐにまた次の呪文がきた。

「エクスプロージョンッ」

「うおおおっ」

クロッサルは剣を前に出し、からくも直撃は防いだものの、2人と同じように吹っ飛ばされてしまった。

「ま、まずいぜ、こりゃあ」

「どうする、あの呪文をまともにくらったらヤバイぜ」

セナとタータは互いに背中を合わせ防御をする形になっている。

「次は多分、あの呪文はこねえぜ」

「え」

「見たところ、あの呪文かなりの魔法力を使うぜ。いくらなんでも3発続けては無理だ」

「そ、そうか、よし」

セナは剣を握りなおした。

「あたしが飛びかかる。援護頼むぜ」

「おう」

セナは地面を蹴るとシュブレナリーオ目掛けて飛びかかった。

 

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